なぜ女子枠なの?

 現在,日本における女性研究者の割合は,欧米の先進諸国と比べると未だ低い状況にあります.男女共同参画の観点はもとより多様な視点や発想を取り入れ研究活動を活性化し,組織としての創造力を発揮する上でも,女性研究者数の増加のための取り組みを続けるとともに,女性研究者の研究力向上を図ることは極めて重要です.また,ものづくりの現場でも,様々な視点による研究・技術開発が求められており,県内の企業においても女性技術者のニーズが高まっています

 下の図は電子部品・デバイスの製造品出荷額の割合を示したグラフ(出典:経済センサス)ですが,これによると三重県は18年連続全国1位で半導体分野の人材が強く求められていることがわかります.また,製造業の従事割合については三重県は全国4位となっています.つまり,半導体だけではなく「ものづくり」を行う理系人材の強化補強は非常に重要で,今後すべての産業で求めらているデジタル分野の効果も重要と言えるのです.

 さらに右側のグラフでは今後10年間で必要となる半導体半導体産業への人材を示しており,三重県の場合,半導体4社だけでも約3,000人の増加が求められています.そのうち,女性の割合を20%とする目標を定められていますが,この4社における現状の女性人材の割合は5%程度です.すなわち,圧倒的に女性人材が不足しているのが現状です.

電子情報工学コースにおける入試について

 このような社会的な背景や地域のニーズ,さらには出前授業やその他の取り組みから,電子情報工学コースでは女子枠を導入することになりました.電子情報工学コースの入試については,前期日程20名,後期日程15名,学校推薦型選抜5名となっておりますが,そのうち学校推薦型選抜の5名を共通テストを課さない女子枠とします.なお,入試の詳細については本学の学生募集要項に記載しておりますので,そちらをご覧ください(https://www.mie-u.ac.jp/exam/faculty/guidelines/

入学した後の支援は?

 工学部では昨年度から女性研究者が輝く未来創造プロジェクトして「女性のキャリアパスの講演会と交流会」を開催しています.ここでは,工学部所属の女性教員や半導体企業の女性研究者を工学部に招き,半導体の仕組み等を分かりやすく説明してもらったり,自身がいかにして研究者になったか等のキャリアパスについても講演していただいています.卒業生の女性研究者による講義と交流会も予定しています.さらに女子学生を対象とした奨学金についても実現に向けて鋭意準備を進めている段階です.

 このように,三重大学ではこれまで以上に男女がそれぞれの個性を理解し,尊重することで学び合う環境をより充実させていきます.また,多様なものの見方や考え方を知り,新たな技術・価値の創出に貢献することのできる多様な人材の育成と輩出を実現していきます.

【参考情報】各種報道など(外部リンク)